テーマ展示「寄贈資料展」

河村蜻山画　有地紫芳賛　色紙　新保家寄贈

有地紫芳（ありちしほう）（本名・健祐）は、東京朝日新聞記事審査部で楚人冠の部下として働いていた人物です。

紫芳は俳味に富んだ生活を送っていたようです。楚人冠はそんな紫芳を尊敬していました。俳句仲間からただ一人、紫芳にだけ声をかけて湖畔吟社の句会に招待をしていたほどです。

杉村楚人冠書　河村蜻山画　手ぬぐい　新保家寄贈

「筑波見ゆ／冬晴の／洪（おお）いなる／空に」は、楚人冠の遺墨です。この遺墨は、楚人冠の七回忌に蜻山が製作した楚人冠の句碑に使われました。

この手ぬぐいは、その遺墨を中央に染め、さらに上下に椿の柄をあしらったもので、句碑と同時期に制作された記念品です。

楚人冠（左）と永田のセガリ（右）　吉田尚彦氏寄贈

楚人冠は昭和9（1934）年、に八幡平（はちまんたい）（岩手県・秋田県）周遊の途中に落馬し、骨折してしまいます。そのため、療養を余儀なくされました。

当時、骨折した楚人冠の治療にあたった人物が、「永田のセガリ」と呼ばれる、接骨師の免許を持たない民間の骨接つぎ術の伝承者でした。楚人冠は彼を厚く信頼しており、経過観察をしてもらうため、八幡平から我孫子まで呼び寄せるほどでした。