テーマ展示「てがみ展 楚人冠の随筆に登場する人々」
展示趣旨
身近なできごとを描く随筆を得意とした杉村楚人冠。
彼の作品には様々な魅力的な友人が登場します。
その友人たちの手紙を、楚人冠の随筆での彼らの描写とともにご紹介。
てがみと随筆で、その人となりに迫りました。
展示期間
令和4年1月18日(火曜日)から3月13日(日曜日)まで
展示内容
1 結城素明
日本画家、東京美術学校教授の結城素明は『楚人冠全集』第16巻「おきな草」に登場。写生に熱心な様子が書かれています。
その結城が楚人冠の肖像画を描きたいと伝えるてがみがあります。この手紙で話題の結城素明画楚人冠座像も和室床の間に展示しました。
結城素明画 楚人冠座像
結城素明のてがみ
2 三島海雲
三島海雲の絵葉書
西本願寺文学寮(現・龍谷大学)時代の恩師である楚人冠を生涯先生と慕ったカルピス創業者三島海雲。
彼の別荘に招かれた時の様子が『楚人冠全集』第17巻「山中閑事」に書かれています。
その文章とも重なる、乗馬を楽しむ三島海雲の絵葉書を展示しました。
3 星一
タイプ打ちの星一のてがみ
星製薬の創業者、星薬科大学の創設者で、SF作家星新一の父として知られるのが星一です。
『楚人冠全集』第12巻の「バルサ」という話に登場します。
実業家らしいタイプ打ちのてがみが残っています。
4 江見水蔭・巌谷小波
児童文学者の巌谷小波、小説家の江見水蔭、演劇評論家の水谷幻花らの連名の、ちょっと変わった資料が残っています。
江見と水谷の喧嘩を仲裁し、今後両人が喧嘩しないように、と仲裁したもので、帝国劇場支配人の山本久三郎や歌舞伎役者尾上菊五郎も名を連ねます。
この喧嘩仲裁のてん末は、杉村楚人冠『かにかくに』の「和解」に書かれています。
江見、巌谷からの礼状と、この珍しい喧嘩仲裁状を展示しました。
喧嘩仲裁状
巌谷小波葉書
5 長谷川如是閑
長谷川如是閑ハガキ 和歌二種
言論弾圧事件白虹事件で大阪朝日新聞を退社した気骨のジャーナリスト、長谷川如是閑。
楚人冠とはジャーナリスト仲間でもありますが、随筆やてがみで残る楚人冠と如是閑のやりとりは、日常生活や余暇に関わるものです。
如是閑が薪ストーブを愛用していたという話が『続々湖畔吟』の「薪のストーブ(再び)」に出てきます。
過去の企画展、講演会などイベントのリストへのリンクです