No.27 わが家で始まる、小さな国際交流:あびこホストファミリーの会

海外の学生や若者を家庭に迎え入れ、家族の一員としてともに過ごすホームステイ。そんな国際交流を地域で長年続けているのが「あびこホストファミリーの会」です。現在は我孫子市や近隣地域を中心に約20のホストファミリーが参加し、それぞれのペースで受け入れを行っています。
受け入れるのは、ノルウェーを拠点とする国際交流団体「World Campus International」を通じて来日する若者たち。これまでにノルウェー、オランダ、イタリア、アメリカ、中国など30か国以上から参加があり、毎年、日本各地を巡るツアーの一環として我孫子を訪れています。
日常こそが、かけがえのない思い出に
ホームステイと聞くと「英語が話せないと難しいのでは」「特別なおもてなしが必要なのでは」と思うかもしれません。しかし、会員の皆さんが口をそろえて話すのは「家族として一緒に食事をし、普段通りに過ごすことが一番」ということです。
一緒に食卓を囲み、学校や仕事から帰ったあとに会話を楽しむ。休日には近所を散歩したり、家でのんびり過ごしたり。そんな何気ない日常の中にこそ、異文化交流ならではの発見があります。
「日本のアニメに私たち以上に詳しいゲストがいたり、お風呂の入り方など文化の違いに驚かされたりすることも多いです」と話すのは、事務局を務める綾野哲平さん。ニュースやインターネットだけでは知ることのできない、その国ならではの考え方や暮らしを肌で感じることができるのも大きな魅力です。


綾野さんが活動を続ける理由は「子どもたちに幼い頃からさまざまな文化圏の人と直接触れ合い、世界を身近に感じてほしい」という思いから。日常の中で英語や身振り手振りを使って言葉を交わす経験は、自然と語学への興味や相手を思いやる気持ちを育みます。綾野さんのご家庭でも、幼い頃からゲストを迎えてきたお子さんが、今では外国人と接することにも物怖じせず、「将来は英語を生かした仕事をしたい」という夢を持つようになったそうです。
言葉や文化の違いを越えて生まれる交流は、ゲストだけでなく、受け入れる家族にとっても新しい発見の連続です。
滞在が終わっても続いていく「家族」のような関係
「知らない人を家に迎えるのは不安」という声もありますが、綾野さんは「最初は気まずくならないか心配でしたが、すぐに本当の家族のような関係になります。帰国した後は家の中が急に静かになり、家族みんなで寂しくなるくらいなんです」と笑顔で語ります。
SNSで近況を報告し合ったり、再訪したゲストが「ただいま」と訪ねてきたり、成長した子どもたちがゲストの母国へ会いに行ったりと、交流は一度きりで終わりません。
食卓を囲み、会話をし、時にはお手伝いをお願いしたり。日々の暮らしの延長線上にあるそんな国際交流が、世界との距離をぐっと近づけてくれます。子どもにとっても大人にとっても、かけがえのない体験に。我孫子から始まる小さな国際交流。世界とのつながりを暮らしの中で感じられる「あびこホストファミリーの会」を、のぞいてみてはいかがでしょうか。

文:寺田さおり













