令和5年度教育行政施策
令和5年度の教育行政の施策について申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、中止が続いていたスポーツイベントや文化・芸術等のステージ発表が3年ぶりに開催されるなど、久しぶりに活気が戻ってきたことを実感しています。次代を担う子どもたちが心身ともに健康に成長していくためには、時代に適合した持続的な学校運営を進めていくことが大切です。また、生涯学習環境を整備し、子どもから大人にいたるまで、生涯にわたる学びの機会をより一層充実していくことも重要です。
引き続き、「我孫子市第2期教育振興基本計画」に位置づけた施策を着実に推進するとともに、社会の変化に応じた教育行政を進めていきます。
教育委員会では、令和5年度の教育施策の基本方針を「個性を尊重し、互いに学び合う学校教育並びに生涯学習の推進」とし、施策を展開していきます。
第一の基本目標は、「子どもの創造性と自主性を育む教育の充実」です。
一つ目の重点は、「学校教育の充実」です。
はじめに、小中一貫教育の推進です。平成25年度から「小中一貫教育の研究・推進」に取り組み、平成31年度から全ての中学校区で小中一貫教育を実施しています。令和4年度より教育委員会から任命された保護者や地域住民の方々が、一定の権限と責任を持って学校運営に参画する仕組みとして、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)がスタートし、市内全小中学校に学校運営協議会を設置しました。小中一貫教育とコミュニティ・スクールの一体的推進を目指し、令和5年2月に我孫子市小中一貫教育基本方針を改訂しました。今後は、学校運営協議会が承認した中学校区ごとの小中一貫教育基本方針に基づいて、学校運営を行っていきます。
また、幼児教育と学校教育の接続を重視した幼保小連携を推進していきます。「我孫子市幼保小連携・接続カリキュラム」を通じて、幼稚園、保育園、認定こども園と小学校の交流活動や目指す子どもの姿を共有しながら、育ちや学びの接続を図っていきます。
学校におけるICTの効果的な活用については、引き続き、タブレット型端末を活用した学習や情報モラル教育を進め、児童生徒の発達段階に応じた情報活用能力の育成に取り組んでいきます。令和7年10月からの第2次教育ICT調達に向けた準備のため、専門的な知見のあるコンサルティング業者にシステムの調達支援業務を委託します。
次に、安心して快適に学べる教育・学習環境の充実です。現在、布佐中学校区の小学校2校は全学年で単学級となっており、「我孫子市学校施設個別施設計画」では、学校施設のあり方について速やかに検討すべき地区としています。令和4年度に我孫子市布佐中学校区の学校の在り方検討委員会を立ち上げ、児童生徒にとって最適な学習環境となるよう先進地視察や検討を進めています。今後は、令和5年度末を目途に提言をまとめ、方針を決定します。
現在、市内全小中学校に設置しているプール施設は、老朽化が進んでいます。水泳指導の民間活用については、令和3年度に湖北台東小学校からスタートし、令和4年度に我孫子第一小学校と布佐南小学校を加えた3校で実施したところ、児童や保護者からも大変好評で、児童の泳力向上や維持管理費との費用対効果も期待できることから、令和5年度は、我孫子第二小学校、我孫子第四小学校、高野山小学校、並木小学校を加えた計7校で実施する予定です。
次に、信頼される学校づくりの推進、教職員の意識高揚を図る職場環境づくりについてです。「我孫子市小中学校職員の働き方改革推進プラン」を令和4年4月に一部改定し、超過在校等時間の制限や部活動の在り方に関するガイドラインを見直しました。児童生徒と向き合う時間を確保できるよう教職員の多忙化解消に努め、信頼される学校づくりに取り組んでいきます。
二つ目の重点は、「地域に根ざした教育の充実」です。
「地域とともにある学校づくり」を推進するため、コミュニティ・スクールを通して、学校と地域が子育ての目標やビジョンを共有し、パートナーとして連携・協働を図ることで、地域に根ざした教育の充実を目指します。また、学校と地域の教育支援活動をつなぐため、市内全小中学校に地域学校協働本部を置き、地域学校協働活動推進員を配置しています。今後は、行政だけでなく、社会教育団体を含めたボランティアネットワークを構築するとともに、学校と地域の双方向から連携・協働できる体制を整備していきます。
中学校の部活動については、教職員の働き方改革や少子化対策等、さまざまな課題を踏まえ、生徒がスポーツや文化芸術活動に継続して親しむことができる機会を確保できるよう、部活動改革に取り組んでいきます。部活動の地域移行に向けた取組の一環として、部活動指導員を配置する予定です。令和4年度内に各中学校の部活動の現状と部活動指導員に対する要望を集約し、適切な運営のための体制整備を進めていきます。
三つ目の重点は、「子どもの成長・自立への支援」です。
まず、いじめ問題への対応です。いじめは絶対に許されない行為であり、どの子どもにも、どの学校においても起こり得るものであることを十分認識するとともに、集団の中で子どもたちがお互いの個性を認め合えるよう継続的に指導しています。
いじめの防止及び早期発見・早期解決を図るため、市独自の「我孫子市いじめについてのアンケート」を年2回実施するとともに、小学校3年生から中学校3年生までを対象として「WEBQU(子どもたちの学校生活における満足度と意欲、学級集団の状態を調べることができるアンケート)」を実施しています。さらに、学校への支援として、アンケート結果等に基づき、指導主事や教育相談センター職員などを派遣し、児童生徒の観察や学校へのアドバイスを行っていきます。児童生徒や保護者から寄せられるさまざまな悩みに寄り添うとともに、全ての児童生徒が安心して生活し、健やかに成長することができるよう、環境整備に向けた検証と改善を行っていきます。
次に、特別支援教育についてです。教育相談センターでは、特別な配慮を必要とする就学予定の児童生徒に対し、適正な就学の支援を行うため、本人の状態、保護者の意向や学校の状況、医師や心理学等専門的見地からの意見を踏まえ、教育支援委員会を中心に総合的な観点から就学先を決定しています。
就学後においても一貫した支援を行うため、児童生徒一人ひとりに合わせた個別支援計画等を作成するともに、特別支援教育アドバイザーを配置し、学校全体で支援体制の強化を図っています。
令和5年度は、人材の育成と多様な学びの確保に向けて、学級支援員を増員し、言語聴覚士を配置する予定です。帰国・外国人児童生徒に対しては、引き続き、通訳の派遣や日本語指導等の支援体制を整備していきます。
次に、長期欠席児童生徒対策事業についてです。不登校児童生徒への対応は、喫緊の課題です。個々の状況は異なるため、支援にあたっては、児童生徒と保護者の意向を確認し、実態に合った教育を支援していく必要があります。令和5年度から新たに教育支援センター指導員を配置し、クラス以外にも自分の存在価値を認められる「学校内の居場所」として、校内教育支援センター(校内適応指導教室)を小学校においても必要に応じて、設置していきます。引き続き、心の教室相談員やスクールソーシャルワーカー等、専門スタッフによる学校のサポート体制を強化し、長期欠席児童生徒の解消に取り組んでいきます。
第二の基本目標は、「市民が生涯にわたって生き生きくらすための学習体制の充実」です。
一つ目の重点は、「生涯学習環境の充実」です。
生涯学習においては、誰でも、いつでも、どこでも学べるように、学習機会の充実を図るとともに、学習で得た知識を社会に活かし、まちづくり活動へと発展していくよう支援していきます。
生涯学習施設については、湖北地区公民館の合併浄化槽改修工事を実施するため、令和5年8月から10月までの約3か月間休館する予定です。また、生涯学習センターの給水設備改修工事を実施することから、令和5年12月の1か月間、公民館・図書館ともに休館する予定です。
鳥の博物館では、展示をリニューアルするための検討委員会を立ち上げ、委員の皆様のご意見を伺いながら、展示内容の検討を進めていきます。また、長寿命化計画に基づき、老朽化した受変電設備、給排水設備、エレベーターの更新工事を行うため、令和5年11月から令和6年3月にかけての約4か月間休館する予定です。休館中もイベントの実施やホームページでの情報発信など、様々な手法で博物館事業の充実に努めていきます。
図書館では、平成31年3月に策定した「我孫子市子どもの読書活動推進計画」を振り返り、子どもの読書活動のさらなる推進のため、令和5年度に「我孫子市第二次子どもの読書活動推進計画」を策定します。また、長寿命化計画に基づき、経年劣化している布佐分館の屋根・屋上防水と外壁シーリング等の改修工事、昇降機の更新工事を行うため、令和5年の秋以降に2か月程度休館する予定です。
各施設の休館中は、利用者の皆様にはご不便をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いします。
二つ目の重点は、「スポーツの振興」です。
生涯スポーツの推進では、令和4年度に策定した「我孫子市スポーツ推進計画」に基づき、スポーツ推進委員等と連携し、7つの総合型地域スポーツクラブの育成と支援を行うとともに、生涯スポーツを支えるスポーツ指導者の養成に努めます。
また、学校部活動の地域移行については、スポーツ関係団体や関係各課と意見交換しながら、推進体制の整備について協議を進めていきます。
スポーツを楽しむ機会の充実では、初心者から上級者まで、年齢を問わず一緒に楽しめるランニングイベント「手賀沼チームラン・キッズラン うなきちカップ」をはじめ、ファミリースポーツテスト、ボールゲームフェスタ等、スポーツに親しめる機会の創出に努めていきます。また、これまで夏休み期間中に学校プールを一般開放していましたが、学校プール施設の老朽化や昨今の異常気象による熱中症の危険性があることから、市内の屋内民間プールを活用して、小中学生を対象にプール開放を実施する予定です。
市民体育館については、老朽化した第2変電設備等の更新工事を実施するため、工事期間中は、ナイター利用を停止します。利用停止期間が決まりましたらホームページ等でお知らせしますので、ご理解とご協力をお願いします。
三つ目の重点は、「文化芸術活動への支援と地域文化の継承」です。
文化活動への支援と環境整備では、市民文化団体との連携を図り、市民の自主的な文化芸術活動を支援していきます。市民文化祭や音楽コンサート等、市民が文化芸術活動に積極的に参加できるよう活動や発表の場を提供するとともに、舞台鑑賞事業等を通して、子どもたちが舞台芸術に触れる機会の充実を図り、文化芸術活動が発展していくための環境を整備していきます。
歴史的・文化的遺産の整備・活用では、「我孫子市文化財保存活用地域計画」に基づき、旧井上家住宅や白樺文学館、志賀直哉邸跡書斎、杉村楚人冠記念館など市内の史跡や文化財により親しみを持っていただけるよう保存活用を進めていきます。
埋蔵文化財や歴史資料の調査・研究では、市内に所蔵されている古文書や民具などの資料調査を進め、データベースとして順次公開し、活用していきます。
以上、教育委員会の施策について申し上げましたが、事業の推進にあたり、議員の皆様・市民の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。
