山上千恵子さん講演会開催報告(令和2年12月5日開催)
山上千恵子さん講演会「たたかいつづける女たち~均等法前夜から明日へバトンをつなぐ~」ミニトークとDVD上映会
令和2年12月5日(日曜日)午後1時30分から、あびこ市民プラザホールで、映画監督・山上千恵子さんの「たたかいつづける女たち~均等法前夜から明日へバトンをつなぐ」の映画上映会を開催しました(参加31人)。演台にもアクリル板を立て、新型コロナウイルス感染症対策を講じての開催となりました。
上映前に、お住まいの京都から駆けつけてくれた山上監督ミニトークがありました。冒頭、「ここに私の映画を見ようときてくださった方に感謝します。コロナ禍のこんな時だからこそ、私がいかなきゃと、京都から決死の覚悟でやってまいりました」と挨拶。短い時間でしたがご自身のこと、映画への思いを語ってくれました。
自己主張しない少女時代
京都に生まれ、美術学校卒業後、25歳で東京に出て、デザインの仕事をしていました。当時は「女のくせに」といわれる時代。割と進歩的な両親でしたが「女は結婚して子どもをつくって、男性のいうことは黙って聞いて」と言われ、長女ということもあって、いい子にならなければという思いがあり、自己主張しない、暗い女の子でしたね。何かを表現したいという気持ちはありましたが、女性監督など極めて少なかったし、映画とは思いつきませんでした。
「大枚はたいて」ビデオカメラを購入
きっかけは、1980年代、世の中にビデオカメラが普及したことです。フィルムカメラは使い方がわからないけど、これなら簡単に映像も音声もボタン一つでとれる。これはいいかも、と大枚はたいて買いました。最初のうちは自分自身や身の回りのことなどを撮っていました。もっと生き生きと生きたいと考えていた時期で、いつか、自分自身も解放されるようなビデオをつくりたい考えていました。
あこがれの生き方と巡り合う
そんな時、ウーマンリブの女性たちに出会いました。「嫌なことは嫌、欲しいものは欲しい」「私の人生は私が決める」とはっきり自己主張ができる人たちです。一緒にいると私自身がどんどん元気になりました。世間ではウーマンリブというと、ブスでヒステリックで口うるさいだけの女と言われていましたが、私にとっては、あこがれの生き方でした。
カメラで、私も参加する!
の第一作目(「女たちは元気です~'82優生保護法改悪阻止の記録」1982年)は、そんな彼女たちの活動を撮ったものです。「自分はカメラで参加したい、私が撮らなければ」という思いでしたがたくさんの女たちとの共同制作は楽しかった。以来、カメラを持っているということで、ことあるごとにいろんな活動を撮りました。
「イブ・リブ・リレー」もその一つで、その映像は今回の作品に登場します。彼女たちは、1984年のクリスマスイブの日に、新宿から霞が関にある当時の労働省へリレーし、バトンに入れた要望書を届けました。男女雇用機会均等法成立の動きに向けて、「雇用機会の均等だけではなく、すべてのステージでの男女平等を!」「保護も平等も!」という主旨の要望です。私もバイクの後ろに乗り、車がバンバン通る中、必死で撮り続けました。
仕事として映画を撮り始める
1999年にワーク・インを設立して本格的に制作活動を開始。横浜女性フォーラム(現在の男女共同参画センター横浜)から、さまざまな女性の問題をテーマとしたビデオ制作の依頼があり、初めて仕事として映画を撮りました。約1年で13~15本、身体のこと、労働、セクシュアリティ、家族…女の問題ってこんなにあるんだ、一生かかっても撮りきれないけど、伝えなきゃと、気もちを引き締めました。
テレビの仕事もしました。男たちの世界で、ウーマンリブの女が入ってきたと、敬遠されたり、いじわるされたり。女性差別もありました。思うようなものが作れず、メディアの世界の限界を感じ、自主制作しかないと考え始めました。
たたかう女たちを撮り続ける
企画運営のあびこ女性会議のみなさんと
初の自主制作作品はレズビアンであることをカミングアウトしたパフォーマンスアーティストのドキュメンタリーでした(「Dear tari ディア ターリ」、2000年)。この作品は2001年にソウル女性映画祭アジアンショートコンペティションで観客賞を受賞。現地の女たちの応援に、日本の女性のことを女性の視点で撮り、国内だけでなく海外にも伝えなくてはと感じました。
女たちの歴史を記録しておかなければ、存在さえもなかったことになるという思いから、2004年、瀬山紀子さんと「女たちの歴史プロジェクト」を立ち上げました。2人で最初に作ったのが「30年のシスターフッド~'70年代ウーマンリブの女たち」(2004年)です。その後、「姉妹よ、まずかく疑うことを習え~山川菊栄の思想と活動」(2011年)、「潮風の村から~ある女性医師の軌跡」(2013年)と、たたかう女たちばかり撮ってきました。そして直近の作品が、今日見ていただく「たたかいつづける女たち~均等法前夜から明日へバトンをつなぐ」(2017年)です。
「たたかいつづける女たち」にもイブ・リブ・リレーから現在に至るまで、さまざまな場面でたたかう女性たちが登場します。黙っていては何も変わらない。性による差別、人種差別なくひとりひとりが大切にされ、生きられる社会ために、私たちができることは、まず声をあげること。私自身、作品からそのことを教えられました。映画を見たみなさんも、それを感じとってくださることを願っています。
ミニトークのあと講師とともに作品を鑑賞
「あとどれだけ撮れるかわからないけど、もうちょっとがんばりたい!」と講演をしめくくった山上さん。
「たたかいつづける女たち」は2020年、トルコとアルメニア、2つの国際女性映画祭参加作品に決まりました。山上さんも3月と11月にそれぞれ現地に行く予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大で両映画祭ともオンライン開催になり、山上作品もネットを通じて世界に発信されました。
山上さんは「海外の女性たちに、そして男性たちにも、日本の女たちの状況とその歴史を見てもらえるのはうれしい」と話していました。
参加者のアンケートなど
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