旧井上家住宅とは
昔の蔵(昭和6年)
井上家と相島新田
旧井上家住宅は、我孫子市の東端にあり、江戸時代には利根川舟運の主要な港町として栄えた布佐郊外の相島新田にあります。この辺りは江戸時代中期から手賀沼の干拓が行われたところで、相島新田は井上家が開いたことで知られています。
井上家は、江戸時代前期から江戸尾張町(現:銀座)で食料雑貨商「近江屋」を営んでいましたが、4代目の井上佐次兵衛の代に「享保の改革」の一環として実施された手賀沼の干拓事業に参入し、この地に移住しました。
歴史的建造物
旧井上家の敷地には、9棟の歴史的建造物が現存しています。大規模な母屋は、敷地の西側北寄りに東に面して建ち、南側には端正な庭園が設けられています。東側には一段高くした地盤(洪水対策のために築いた水塚〈みづか〉と考えられる)の上に二番土蔵があり、その南側に新土蔵が並びます。敷地の北端には油を漉す作業場だった旧漉場(こしば)が残っています。
表門は東側北寄りに設けられており、両側には袖塀が取り付き、北側の旧道境にも外塀が延び、母屋の北側に裏門が開かれています。このうち母屋と表門、二番土蔵は江戸末期、旧漉場と裏門及び裏門両脇の屋根塀などが大正後期、新土蔵と庭門及び両脇屋根塀が昭和初期に建設されたものです。
いずれも風格と格式を具えた良質の建築であり、きわめてよい状態で保存されてきました。手賀沼開墾に尽くした豪農と屋敷景観を今日にとどめる貴重な文化遺産となっています。
(平成24年12月28日・市指定文化財に指定)
井上家の家紋・井桁に三ツ星
瓦(左)・土間の入り口(右)
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