別当地遺跡発掘調査速報
別当地遺跡とは
別当地遺跡は、我孫子市中里にある遺跡です。これまでにも数多くの発掘調査がおこなわれ、古墳時代から奈良・平安時代の竪穴建物跡や掘立柱建物跡などが多く見つかっています。
近隣に位置する、相馬郡衙正倉跡(税などを収めた倉庫)とみられる日秀西遺跡と合わせて、古代の我孫子の様子を知るうえで重要な遺跡です。
別当地遺跡第49次調査
期間:2022年11月4日から2023年1月11日まで
今回の調査では、奈良・平安時代の竪穴建物跡6棟
などが見つかりました。
竪穴建物跡
今回の調査で確認された竪穴建物は、全てカマド(写真奥)を持つ奈良・平安時代のものです。いずれの竪穴建物も、カマドを北側に向けていました。
写真の竪穴建物は、隅に柱穴を持ち、小さな溝が巡るもので、この時期の竪穴建物としてはスタンダードな形です。
竪穴建物跡の遺物出土状況
上の写真の竪穴建物からは土器が床面の近くからまとまって出土しました。食物などを持ったと考えられる杯や、煮炊きに使われた甕などが一緒に出土しています。
別当地遺跡第42次調査
期間:2018年4月10日から2018年10月12日まで
今回の調査では、古墳時代から奈良・平安時代の竪穴建物跡54棟や郡衙の区画に関連すると考えられる溝、氷室の跡と考えられる大型の土坑などが見つかりました。
竪穴建物跡
奈良・平安時代の竪穴建物跡は多く見つかりましたが、その中でも左の写真のものは大型で入口側、写真下側に張り出しを持つ珍しいものです。こういった竪穴建物跡も相馬郡衙と何らかの関係を持っていると考えられています。
区画溝
調査区を東西に横切る溝は、綺麗に逆台形の形で掘り込まれており、以前にこの東側を調査した時に見つかった溝と繋がると考えられ、郡衙の区画溝ではないかと推測されます。
氷室
すり鉢状に掘り込まれた底の中央部分にもう一段の掘り込みを持つ大型の土坑です。近年の研究ではこの形の土坑は、古代の氷室の跡と考えられており、それが事実だとすると我孫子でも当時氷を作って保管していたことになります。