2011(平成23)年第1回市議会定例会(3月議会)教育委員会施政方針
平成23年度教育行政の施策について申し上げます。
目まぐるしく変化する現代社会にあっては、流行に振り回されることなく、社会がいかに変化しても主体的に対応できる基礎的・基本的な資質・能力である「生きる力」を身につけることが求められています。
このため、自ら学習し、考え、行動し、課題を解決する力のほかに、他人との協調や思いやりの心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力などをバランスよく育んでいく必要があります。
子どもから大人にいたるまで、いつでも自由に学習の機会を選択し、生涯にわたって学び続けられる環境づくりを推し進めていくことが、「生きる力」を具現化するためには重要と捉えています。
また、学校教育におきましては、「豊かな心の育成と望ましい人間関係づくり」、「確かな学力の育成」、「健やかな体の育成」の推進を図り、「知・徳・体」のバランスの取れた教育実践に努め、「生きる力」の育成に尽力していきます。
教育委員会としましては、教育行政の基本方針を「個性を尊重し、互いに学びあう生涯学習の実現」とし、以下の三つの施策を展開していきます。
第一の施策は、「市民が生涯にわたっていきいきとくらすための学習体制の充実」です。
一つ目の重点は、「生涯学習機会の充実」です。
市民一人ひとりが、生涯にわたって学びたいときに学べる学習機会の推進を図ります。市民の学習活動が自己実現及びまちづくり活動として発展していくよう、市民のニーズに配慮するとともに、現代的・地域的課題に対応した学習機会の充実を図ります。
はじめに、市民への学習機会の提供についてです。
あびこ楽校協議会が実施する出前講座は、現在、市役所メニューが90講座、市民講師メニューは92講座です。22年度は、市民の利用促進を図るため、はじめての試みとして「出前講座・オープンデー」を開催し、PRしました。23年度においても、市民の生涯学習を支援するため、出前講座をPRするとともに、講座メニューの拡大に努めます。
次は、公民館事業の充実についてです。
公民館では、市民のライフステージに合わせた学級・講座を開設するとともに、現代的な課題や地域的な課題に対応した学習機会の充実に努めています。
23年度は引き続き子育て、退職後や高齢期の生き方、女性の自立などをテーマに、学級・講座を開催するとともに、新たに、小中学生を対象にした体験型の学習講座「アビコでなんでも学び隊」を市内の市民団体、学校、企業等の協力を得て、実施します。
また、家庭教育力の低下を課題として捉え、その対応として、家庭教育の重要性やあり方について広く理解を得るため、学校や地域との連携を図るとともに、多くの保護者が集まる機会に家庭教育に関する学習機会を提供していきます。
次は、図書館サービスについてです。
図書館では、人生をより深く生きていく上で必要な読書の習慣を、全ての子どもたちが身に付けてくれることを目指しています。引き続き、保護者やボランティアの方々による読み聞かせ活動を支援し、学校図書館の整備・充実に協力するなど、学校と連携して子どもの読書環境の向上に取り組んでいきます。
また、成人を対象としたサービスでは、健康や育児、仕事や法律に関するものなど、実用的な資料も多く揃えて、市民生活に役立つよう努めます。
郷土資料サービスにおいては、我孫子市に関する資料を一層充実させ、ホームページや講演会を通じて、多くの市民が我孫子を知り、愛着を感じられるよう努めます。
次は、鳥の博物館についてです。
鳥の博物館は、手賀沼や周辺環境を活かし、野外と施設を一体化した「フィールドミュージアム」を展開します。さらに、館内展示や展示案内を工夫し、魅力のある博物館を目指します。
23年度は、「手賀沼の生き物調査」を市内各所で実施します。各種の個体数調査の実施により、生息状況の情報を得ていきます。
身近な自然へ誘う普及活動として、「てがたん(手賀沼定例探鳥会)」、「あびこ自然観察隊」などの野外活動や「工作」、「科学実験」などの館内活動や市民スタッフによる館内ガイドの充実を図ります。
実施にあたっては、市民スタッフや友の会の協力を得るとともに関連施設との連携を図り、効果的に進めます。
また、インターネットを通じて、身近な自然や環境の映像を紹介している「生きものライブカメラ」は継続して実施し、その映像を館内での展示にも活用していきます。
二つ目の重点は、「生涯学習体制の整備」です。
市民の生涯学習の領域は、市政全般にわたっています。そのため、第二次生涯学習推進計画に基づき、市長を本部長とした生涯学習推進本部のもと、全庁を挙げて生涯学習施策の確実な推進を図ります。
市民の生涯学習支援として、引き続き学習情報の収集・提供、学習相談の充実を図ります。また、生涯学習を支える人材情報や団体情報の登録を進め、ホームページ等で提供していきます。
三つ目の重点は、「文化芸術活動の推進」です。
「我孫子市文化芸術振興基本方針」に基づき、市内で様々な文化芸術活動を行っている多くの市民とともに、文化芸術振興施策を進めていきます。また、その担い手の中心となる団体の活動が充実するよう支援していきます。
四つ目の重点は、「スポーツの振興」です。
はじめに、総合型地域スポーツクラブの育成についてです。
地域住民が主体となり、スポーツ活動をとおして健康づくりや交流ができる地域スポーツのクラブ化を進めています。現在、我孫子中学校区をはじめとする五つの中学校区に、それぞれクラブを設立しました。23年度は、湖北中学校区に設立する予定です。
次に、市民体育館の改修についてです。
市民体育館は、市民のスポーツ・レクリエーション活動の場として開館後25年を経過しました。利用者の安全性、快適性を維持する必要があることから、野球場施設の防球ネットと支柱の改修工事を実施します。また、体育館の雨漏り調査を行います。
第二の施策は、「子どもの創造性と自主性をはぐくむ教育の充実」です。
一つ目の重点は、「学校教育の充実」です。
はじめに、子どもの創造性、自主性、社会性を育む教育の推進についてです。
新しい学習指導要領の完全実施が、小学校においては23年度から、中学校では24年度からとなりますが、新教育課程に沿った授業を円滑に展開するため、指導力の向上や新たに必要となる教材・教具の整備を進めていきます。
また、いじめの解消や不登校の防止などに向け、よりよい人間関係を構築するため、学級の満足度や生活意欲に関するアンケート(Q-U検査)を全小中学校で実施し、子どもたち一人ひとりの実態把握と対応策、学級集団の状態、その後の学級経営の方針などを分析し、具体的な改善策を展開できるよう支援していきます。
次は、特別支援教育と不登校対策の推進です。
特別支援教育や不登校対策については、すべての児童・生徒が明るく楽しい学校生活を送れるよう、「魅力ある授業づくり」、「人間関係を深める学級づくり」、「教育相談活動の充実」の三点を基本に据え、児童・生徒の困り感の解消を目指し、事業展開を図ります。
特別支援教育では、特に、特別支援コーディネーターへの指導・助言や研究所アドバイザー事業等を通して校内委員会の機能の充実・強化を図り、子どもたち一人ひとりの教育的ニーズに対応する教育を進めていきます。
不登校対策では、心の教育相談員やヤング手賀沼等の関係機関と学校との連携を深め、横断的な指導・支援体制を強化し、不登校の改善・解消に努めます。
次は、子どもたちの確かな学力の育成についてです。
新しい学習指導要領の完全実施を踏まえ、基礎的・基本的な知識や技能の習得を確かなものとするため、指導方法や校内研究の在り方、研究体制に工夫を加えるとともに、言語活動を充実させるための話し合い活動や観察、実験、レポート作成などの知識活用型の学習を進めます。
また、小学校における外国語活動の完全実施にあたり、自分の思いを伝えようとする意欲を高め、コミュニケーション能力の育成を図ります。
さらに、教育の情報化を推進するため、情報モラルを含めた情報教育のカリキュラム開発を支援するとともに、ICT支援員を配置し、パソコンや電子黒板などのICT機器を活用したわかりやすい授業づくりを進めていきます。
次は、子どもたちの健やかな体の育成についてです。
子どもたちが自分の健康や体力に関心を持ち、正しい食生活、運動習慣などの定着を図り、バランスの取れた健やかな体づくりに積極的に取り組むよう、体育の授業改善、食育の推進、薬物乱用防止教育の推進を支援します。
特に、食育については、地産地消に重点を置き、全小中学校における我孫子産米と我孫子産野菜の給食導入事業を継続・充実させ、子どもたちに地域の産物や生産者への関心を高められるよう働きかけます。
次は、安心して学べる環境の整備です。
小中学校の耐震化については、高野山小学校、湖北小学校、湖北中学校、布佐中学校の校舎耐震補強工事とそれに併せてトイレ改修工事を実施します。
これにより校舎の耐震化が完了することから、引き続き体育館の耐震化を進めていきます。
また、この1月下旬の我孫子第一小学校体育館における児童転落事故の発生について、けがをされたご本人とご両親に、改めて心から深くお詫び申しあげるとともに、ご心配をおかけしました我孫子第一小学校の保護者の皆様をはじめ市民の皆様にお詫び申し上げます。今後も子どもの視点に立って、危険箇所の把握と改善を図っていきます。
次は、教職員の研修についてです。
学校教育において、児童・生徒の学力向上や人格形成のためには、教職員の指導力の向上は欠かせません。研修内容を充実させ、すぐに実践、活用できるよう工夫していきます。
二つ目の重点は、「地域に根ざした教育の充実」です。
家庭・学校・地域の連携による教育力の向上を目指します。
学校の教育方針や目指す児童生徒像を実現するため、学校を含め、新しい地域コミュニティの構築に向けて連携をさらに深め、開かれた学校づくりを目指します。
学校評価制度については、各学校が共通して取り組む目標の設定や、評価方法を定める我孫子市小中学校評価システムを策定し、制度の充実を図っていきます。
また、子どもたちが地域に愛着と誇りを持ち、心豊かに育つように我孫子ならではの地域資源を活かした教育の推進を図ります。
そのために、教職員を対象とした地域を学ぶ研修を充実させ、地域学習の指導力向上に努めます。併せて、我孫子が誇る先人に関する学習補助教材を作成・配付し、地域を学ぶ「ふるさとカリキュラム」の開発を推進します。
キャリア教育につきましては、地域の事業所の協力を得て、市内全小中学校で職場体験や職場見学を実施しています。その成果や課題を整理し、より一層の充実を図ります。
さらに、学習支援や部活動支援、環境支援など、さまざまな場面で学校を支援する地域ボランティアの導入については、その制度を見直し、拡充を図っていくとともに、地域の大学・高等学校との積極的な連携を図っていきます。
三つ目の重点は「子どもの成長・自立への支援」です。
青少年の自立・健全育成につきましては、子どもの育つ環境の整備に努め、いじめの解消や自殺防止などにも気を配りながら、学校・地域・関係機関との連携をより一層強化し、健全な成長と自立を支援していきます。
また、就学支援につきましては、準要保護の認定基準を明確にし、保護者への就学援助制度の周知と手続きの簡素化を図ります。
第三の施策は、「新たな文化創造と地域文化の継承」です。
一つ目の重点は、「新たな文化芸術活動の創出」です。
子どもたちが創作活動に親しみ、豊かな感性を育むことを目的に、引き続き、「めるへん文庫」事業を行います。23年度は、昨年の受賞作品「めるへん文庫第8集」の刊行と、第10回の作品募集を行います。なお、第10回の節目となることから、募集について積極的にPRを行います。
二つ目の重点は、「生活文化・郷土芸能の発掘と継承」です。
市内に伝わる神楽舞や祭囃子などの民俗芸能と、日本古来の笛や太鼓の継承者を地域ぐるみで育成していきます。
12月4日(日)には、市内の継承団体と小中学校の生徒が出演する郷土芸能祭を開催します。
三つ目の重点は、「歴史的文化的遺産の保存・活用」です。
「手賀沼文化拠点整備計画」に位置づけられた23年度の事業は、杉村楚人冠邸の整備、旧村川別荘の再整備、湧水スポットの整備などです。
杉村楚人冠邸は、母屋、茶室などの建物を活用し、10月に「(仮称)杉村楚人冠記念館」として開館を予定しています。記念館では、ジャーナリスト杉村楚人冠の業績や、我孫子の地とのかかわりなどを紹介するとともに、庭も含めて邸内を広く見学できるようにします。
旧村川別荘は、建物の修繕と庭の再整備を行い、訪れる方々にこれまでよりもさらに安全に楽しく、見学できるようにします。
併せて、ハケの道沿いの湧水スポットを、手賀沼の源となる湧水が見られたかつての情景を想起させるよう整備します。
以上、教育委員会の施策について述べましたが、事業の推進にあたり、議員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。





