2008(平成20)年第1回市議会定例会(3月議会)教育委員会施政方針

 平成20年度教育行政の施策方針について申し上げます。

 

少子高齢化や団塊の世代の退職など、社会が激しく変化していく今日、人々が生涯にわたり自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が評価されるような「生涯学習社会」を実現することの必要性が増大しています。また、人々の価値観 が多様化し、規範意識の低下が社会問題となっています。

 我孫子市では、市民一人一人がいつでも学べる生涯学習の環境づくりに取り組んでいるところです。

学校教育においては、「生きる力」を身につけることを重点とし、各小中学校では、教育内容の充実や教育方法の改善に取り組んできましたが、先日出された中央教育審議会の答申でも、「生きる力」をはぐくむ基本理念は、新指導要領でも引き継いでいくことが確認されています。

 今年度は、他人を思いやり、感動する「豊かな人間性と道徳性」や「確かな学力」「たくましく生きる健康と体力」をはぐくむ教育に、より一層力を入れ取り組んでいきます。

 

 教育委員会では、教育行政の基本方針を「個性を尊重し、互いに学びあう生涯学習の実現」として、以下3つの施策を展開していきます。


第一の施策は「市民が生涯にわたっていきいきとくらす ための学習体制の充実」です


一つ目の重点は「生涯学習機会の充実」です。

 市民一人一人が、生涯にわたって学びたいときに学べる学習機会の推進を図ります。そして、市民の生涯学習活動がまちづくり活動として発展していくために、社会の変化や生活課題、また、市民のニーズ等に対応した学習機会の充実を図ります。  

 はじめに、生涯学習センターの総合管理運営業務の委託についてです。

 この委託は、18年度に提案型公共サービス民営化制度に提案され、市民サービスの向上や効率化による経費削減が期待できると審査結果がでました。この経緯を受け、プロポーザル方式を実施し、㈱東進ビルシステムに委託することに決定しました。

 今後は、一層の市民サービス向上と、適正な管理運営が図れるようにしていきます。

 次は、湖北地区図書館の建設です。

 20年度に、湖北地区図書館の「規模、機能、管理運営方針、複合の有無、敷地整備計画等についての基本的な事項等」を内容とする湖北地区図書館基本計画を策定します。

 策定に当たっては、庁内関係各課による策定委員会を設置し策定作業を行うとともに、学識経験者及び市民で構成する懇談会を設置し、専門的かつ広範な意見・提案を聴きながら進めていきます。

 次は、鳥の博物館についてです。

 「てがたん(手賀沼定例探鳥会 )」によって環境・体験 学習を充実させてきましたが、20年度は、さらに、県立手賀の丘少年自然の家や手賀沼課、公園緑地課と連携し、手賀沼や利根川など、広域な自然を対象とする共催事業「あびこ自然観察隊」を行います。

 また、市民スタッフによる「フロアスタッフイベント」ついては、スタッフ一人一人に適した活動をさらに展開し、今後の活動の担い手となる人材の育つ環境をつくります。特に、20年度は「手賀沼周辺の生きもの調査」を実施し、その成果を博物館が行う各種の事業に反映させていきます。

 これまでも、誰もが楽 しく学習できる企画展を計画してきましたが、さらに展示に映像機器を組み合わせた、新たな展示を実施します。今後も工夫・充実を図 り、来館者増に取り組んでいきます。

二つ目は「生涯学習体制の整備」です。

 市民の学習ニーズに合った情報発信や相談体制の充実を図ります。 また、大学や企業との連携をさらに深めるとともに、地域の人材を生涯学習に生かせる体制の整備を進めていきます。

 鳥の博物館は、今年で開館19年になります。この間に収集した標本は、本剥製 、骨格標本など合わせ約2,400個体を数えます。このうち約500個体が常設展示され、いつでも見ることが出来ます。これらの資料を将来にわたって充実させていくため適正な管理に努めます。

三つ目は「文化芸術活動の推進」です。

 はじめに、「(仮称 )文化芸術振興条例」の制定です。

 市の第3次総合計画にうたわれている、新たな文化の創造と地域文化の継承をより具体化するため、「(仮称 )文化芸術振興条例」を制定します。市民及び文化団体の代表などで構成する条 例制定委員会で、目的推進の理念、方向性、推進施策、市と市民や企業の責務などを体系的に整理し、「誰でも」「いつでも」「どこでも」文化・芸術活動に参加し享受することができる、我孫子らしさと魅力あふれる条例にしたいと考えています。

 次は、文化施設の検討です。

 多くの市民に利用されてきた市民会館が閉鎖され、1年経過しました。その間、新たな文化施設の建設に向けて検討を行い、11月に「文化施設検討委員会 報告書」及び「市民会館跡地利用報告書」が提出されました。

 20年度は、両報告書の内容を踏まえ、建設の概算費用、財源、時期、候補地などについて調査・研究し、21年度に建設方針を明確にしていきます。

四つ目は「スポーツの振興」です。

 はじめに、五本松運動広場の整備事業です。

 五本松運動広場は、スポーツを中心として、市民の憩いの場や各種イベント会場として利用されています。これまでにトイレの設置や旧管理棟の撤去を行ってまいりました。

 20年度に広場全体の基本計画を策定し、22年度に運動広場として整備します。

 次は、国民体育大会の開催です。

 第65回国民体育大会は、22年度に千葉県で開催されます。

 我孫子市は「なぎなた競技」会場として決定していますので、(仮称)国体推進室を設置し準備を進めていきます。

 なお、来年5月には、国体にむけたリハーサルとして、「第50回都道府県対抗なぎなた大会 」を行います。

 次は、布佐下多目的運動広場の整備です。

 スポーツ・レクリエーションの場として、広く市民に利用されている「布佐下多目的運動広場」内の弓道場は、老朽化が著しいため、新しい弓道場の建設が望まれています。

 20年度に基本設計を行い、早期建設に向け取り組んでいきます。


第二の施策は「子どもの創造性と自主性をはぐくむ教育の充実」です。


一つ目の重点は、「学校教育の充実」です。

 はじめに、子ども達の確かな学力の向上です。

 学習指導要領の示す基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせ、学力の向上を図り、「生きる力」をはぐくむ教育をさらに進めていきます。そのために、小中学校が連携して、交流授業を積極的に進めることにより、児童生徒の実 態や学習の系統性を捉え、授業改善に努めます。また、問題解決的学習や体験 学習の充実 を図るとともに、少人数指導や地域の大学とも連携を深め、きめ細かな学習を展開します。

 また、20年度は、小学校の英語活動や中学校の英語学習の充実をめざしALTの増員を図 ります。

 19年度から20年度にかけて並木小学校が、文部科学省の指定を受け、「英語活動」の研究を進めています。今後、その成果を全市に広めていきます。

 次は、教職員の研修についてです。

 学校教育において、児童生徒の学力向上や人格形成には、教職員の指導力の向上は欠かせないものです。県主催の研修に加え、我孫子市教育委員会主催の研修を実施し、教職員の更なる資質や指導力の向上を図っていきます。

 次は、教育相談体制の充実についてです。

 すべての子ども達が、明るく楽しい学校生活を送れるよう、学校と心の教室相談員、適応指導教室指導員、教育研究所相談員などが連携し、子ども達や保護者の悩み、不安に対する教育相談に当たり、いじめや不登校などの解消を目指します。

 次は、特別支援教育の充実です。

 20年度は、校内委員会 の機能や教職員の研修を充実させ、校内の特別支援教育体制を強化していきます。また、特別支援教育の専門家や学級支援員の学校への派遣により、サポート体制をさらに充実 させていきます。

 次は、食に関する教育の充実についてです。

 我孫子産米の学校給食導入事業を継続すると共に、「地元産農産物を使った給食の日」の取り組みを拡大し、子ども達に地域の産物や地元農業への関心を高めるための働きかけを行います。また19年に作成した「学校教育における食育カリキュラム」を有効に活用して食育の推進を図ります。さらに、歯科衛生士による口腔衛生指導も拡充し、食に関する教育の充実に取り組みます。

 次は、小学校給食調理業務委託についてです。

20年度は、我孫子第四小学校と湖北台東小学校の2校をあらたに委託し、小中学 校19校中16校が委託化されることになります。

 委託業者選定に当たっては、学校給食の質と安全性を維持するため、プロポーザル方式で決定しました。委託校においても直営校と同様 に安全でおいしい給食を提供していきます。

 次は、教育施設の整備についてです。

 20年度は、新木小学校校舎2棟、湖北台西小学校の第二校舎と渡り廊下の耐震補強、トイレ改造、外壁改修などの大規模改造工事と、21年度に工事を予定している我孫子第二小学校校舎の耐震補強工事などの設計を行います。

 さらに、児童数増加により、教室の不足が見込まれる我孫子第三小学校の校舎増築工事の設計を行います。

 また、中学校に引き続き、小学校13校の職員室に、冷暖房を兼ねた空調設備を設置します。

二つ目は、「地域に根ざした教育の充実」です。

 20年度は、地域に開かれた学校をさらに推進していきます。 

 学校の教育方針や目指す児童・生徒像を実現するため、地域の声を積極的に取り入れ、学校評価制度の充実 を図り、学校・保護者・地域住民が一体となり、「地域とともに歩 む学校づくり」をさらに進めていきます。

 そのために子ども達が地域に愛着と誇りを持ち、心豊かに育つように地域学習に力を入れていきます。環境レンジャーや地域のボランティア等の協力を得て、自然・歴 史・文化など、我孫子ならではの資源を活用していきます。子どもが郷土に愛着を持つには、まず、教職員が我孫子のよさを知らなくてはなりません。昨年度に引き続 き、地域の文化や歴史、環境を学ぶ研修を設定し、教職員の地域学習の指導力向上に努めます。なお、20年度は、学習図鑑「ふるさと手賀沼」の改訂版を完成させ、より充実した地域学習ができるようにします。

 次は、キャリア教育です。

 学校と地域が連携し、職場体験・職場見学を取り入れたキャリア教育の更なる推進を図ります。19年度は、地域の事業所の協力を得て、市内の全小中学 校で職場体験・職場見学を実施しました。今後は、より一層の学習の充実を図るため、「キャリア教育推進協議会 」等において、成果や課題を整理し進めていきます。

三つ目は「子どもの成長・自立への支援」です。

 はじめに、あびこ発見ウォークです。

 3年間にわたって実施してきた、「ABIKOチャレンジ・ウォーク」を終え、20年度からは、新たに「あびこ発見ウォーク」を実施します。

 小学5年生から中学3年生までの子ども達を対象に、1泊2日の日程で、我孫子の自然や歴史文化などにふれながら、グループで歩き、夜は自分たちでテントを張り、食事作りなどを行います。

 20年度は28人を募集し、8月初旬に実施する予定ですが、今後は参加者数 を増やしていきます。

 次は、手賀の丘ふれあい宿泊通学 です。

 小学 4年生から6年生までの児童を対象に、手賀の丘少年自然の家を会 場に2泊3日の日程で年3回開催します。異年齢の子どもたちが、放課後、共同生活をしながら、身の回りのことを自分たちで行い、野外炊飯やナイトウォークなどを体験します。これにより、社会のルールの遵守や、自立性、協調性などを養います。

 次は、子どもの居場所です。

 19年6月に1か所目のモデル校として、我孫子第一小学校でスタートしました。「一小あびっ子クラブ」という愛称で地域の方々にも関わっていただき、地域で子どもを育む仕組みを取り入れた居場所として、定着しつつあります。現在、一日あたり30人前後の子どもたちが参加しています。

 20年度は、「一小あびっ子クラブ」の運営状況について、検証作業を進め、事業推進のあり方や2校目以降の実施校の選定など、具体的な検討を行います。

 次は、子どもに関する条例の制定です。

 これまで、小中学生を対象に「子どもの権利条約」の啓発・理解講座や市民を対象とした講演会を行ってきましたが、条例制定は、21年度の子ども総合計画の見直しを踏まえ、具体的な策定作業に入ることにしました。20年度も引き続 き、啓発活動に努めてまいります。


第三の施策は「新たな文化創造と地域文化の継承」です。


一つ目の重点は、新たな文化・芸術活動の創出です。

19年度に手賀沼公園で開催した「アロハフェスタinアビコ’07」では、6,500人の市民の方々にフラダンスを堪能していただくことができました。

 20年度も、自然環境豊かな手賀沼公園で我孫子市ALOHA協会の皆さんとともに、フラダンスを中心に「アロハフェスタinアビコ’08」を9月に実施します。。

二つ目は、生活文化・郷土芸能の発掘と継承です。

 市内に古くから伝わる民俗芸能と日本古来の笛・太鼓による第29回郷土芸能祭を12月に開催します。小中学校郷土芸能クラブ及び郷土芸能団体に出演していただき、古くから我孫子に伝 わる神楽舞や祭囃子などを鑑賞する機会を提供していきます。

三つ目は「歴史的・文化的遺産の保存・活用」です。

 はじめに、手賀沼文化拠点整備計画です。

 手賀沼周辺の史跡文化財を有効に活用するため、昨年策定された整備計画 に基づき、20年2月に実行計画 を策定しました。実行計画では道路や公園などのハード的な整備にかかわる事業や、市民や来訪者の交流や歓迎活動などソフト的な展開を図る事業などを位置づけています。

 今後、実行計画に基づき、国土交通省の「まちづくり交付金」を活用するため、各事業の取りまとめを行い、交付金の概算要望、本要望を行って、21年度の事業着手の準備を進めます。

 次は、白樺文学館の運営です。

 白樺文学館は我孫子における白樺派の活動などを市民に広く周知、理解してもらう拠点として大きな役割を果たしてきました。この白樺文学館が21年度に我孫子市に寄贈されますので、20年度は施設運営の円滑な移行を図るため、白樺文学館との共同運営を行います。

 次は、杉村楚人冠邸の保存と活用です。

 杉村楚人冠は我孫子の文化の発展に大きな足跡を残 しています。楚人冠邸は現在も建設当初とほぼ変わらない状態を維持しており、我孫子の貴重な文化財のひとつです。

 手賀沼周辺の史跡文化財を活用する「手賀沼文化拠点整備計画」に基づき、杉村楚人冠邸の保存と活用を図るため取得に向けた手続 きを進めます。

 

 以上、教育委員会の施策方針について、申し上げましたが、事業の推進にあたり、議員の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。